エンジンのOHなどでは昔から言われていたことですが、同じパーツを使っていても組み付けるひとによって、フィールは全然違ってくるし、実際シャシダイに載せても出ている馬力もまるで違うわけで、そこには間違いなく「熟練の技」というものが介在しています。
1年ちょっと前でしょうか。
交換した部品の価格は約300万円。
工賃や塗装代などを加えると「金額としては新型『Cクラス』並み」ということで注目を浴びたメルセデス・ベンツジャパンがレストアしたという190E。
エンジン同様、足回りも取付け方によって乗り心地はもちろんクルマの挙動まで変わります。
特にリアのマルチリンクは付け方による違いがはっきり分かる部分です。
実は、これ、実際に経験したのですが、マルチリンク一式交換したのに期待していた通りにならなかったということで、持ち込まれた500Eを えちごや皆口氏が一旦全部緩めて締め直してみると、それだけで びっくりするくらい変わりました。
タイヤの接地感がまるで違うのです。
タイヤの接地感がまるで違うのです。
各部分の締め付けトルクは、場所によって 35Nm、45Nm、70Nm (ボールジョイントは 120Nm) となっているのですが、やたらめったらきつく締めつけられてしまっている車のなんと多いことでしょう。
参考 その1
参考 その2
参考 その3
参考 その4
参考 その5
参考 その1
参考 その2
参考 その3
参考 その4
参考 その5
さらにここからが奥の深いところなのですが、上でリンクしたマニュアル通りに締めていったとしても、それだけでは十分ではありません。
場合によっては規定トルクをずらすことも必要なのですが、こればかりは経験の世界で言葉ではなかなか説明できない部分ではあります。
場合によっては規定トルクをずらすことも必要なのですが、こればかりは経験の世界で言葉ではなかなか説明できない部分ではあります。
ただ、言えるのは、トルクレンチを使って例えば70Nmで締めても、人によっては70Nmで締まっていないかもしれないということです。
皆口氏の締め方を横で見ていたのですが、常に左手は固定、右手でスパナを回していくスピードが一定、腕の位置がいつもほとんど同じポジションで締め終わって完了していました。
皆口氏の締め方を横で見ていたのですが、常に左手は固定、右手でスパナを回していくスピードが一定、腕の位置がいつもほとんど同じポジションで締め終わって完了していました。
胆となるのは
「最後にトルクをかけていく時には、レンチは一定速度で回す」
「左右の腕の角度が30度以内のところでトルクを感じながら締め終わる」
ということのようです。
「最後にトルクをかけていく時には、レンチは一定速度で回す」
「左右の腕の角度が30度以内のところでトルクを感じながら締め終わる」
ということのようです。
誤解して頂きたくないのは、こういう情報、別に自慢したくて出しているわけではありません。
残り少なくなってきているこの時代のメルセデス、本来の走り味を失ったまま降りてしまわれるのはあまりに残念です。
正直ネットには、間違っていたり、あっても浅い情報がほとんどです。
残り少なくなってきているこの時代のメルセデス、本来の走り味を失ったまま降りてしまわれるのはあまりに残念です。
正直ネットには、間違っていたり、あっても浅い情報がほとんどです。
有難いことに新人のメカニックさんにもこのブログを見て頂いているようです。
ベテランメカニックの方(特に弊社提携工場さん)にとっては、何を今さらな情報かもしれませんが、意外にこういう基本的なことが若い世代には伝わっていないようです。
上の190Eも作業したのは若いメカさんだったそうです。
ベテランメカニックの方(特に弊社提携工場さん)にとっては、何を今さらな情報かもしれませんが、意外にこういう基本的なことが若い世代には伝わっていないようです。
上の190Eも作業したのは若いメカさんだったそうです。
正しい情報を共有して、そのクルマ本来の性能をみんなで一緒に楽しんでけるようにすることが、オーナーさんはもちろん、この商売に関わる人たちにとっても一番いいことではないかと思い、昨日今日と、こんなブログをアップしてみました。
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By OZW